パミールはリコールできる?パミール問題の原因と正しい対処法をご紹介
パミールはリコールできる?パミール問題の原因と正しい対処法をご紹介
「ニチハのパミールをリコールしたい」
「ニチハのパミールで起きた不具合の対処法を知りたい」
屋根材が劣化していると気づき、このような悩みを持った方は多いでしょう。
パミールは施工して10年前後で「層間ハクリ」「ひび割れ」「釘の腐食」といった不具合がでてきて、屋根自体がボロボロになってしまうということが起きています。
製造元であるニチハには多数のクレームが寄せられ、裁判にまで発展したケースもありますが、責任を否定しており、泣き寝入りする方が多いのが現状です。
この記事では、パミールの不具合の特徴やそれぞれの対処法も詳しく解説していきます。
ニチハのパミールとは?
パミールとは、住宅用建材の最大手メーカーのひとつであるニチハが1996年〜2008年まで製造販売していたノンアスベスト屋根材です。
アスベストによる健康被害が起きた当時、屋根材市場でのシェアが低かったニチハは、いち早くノンアスベスト屋根材の開発に成功し、パミールは誕生しました。
全国に広く流通しましたが、年数が経つにつれ「層間ハクリ」や「ひび割れ」「釘の腐食」といった不具合が多発してしまう耐久性の低い屋根材ということが明らかになっています。
ニチハのパミール屋根材が販売された社会的背景とは?
2006年にアスベストを含む建材の使用が禁止されたことにより、屋根材メーカーはノンアスベストの屋根材を試行錯誤の上、製造販売しました。
屋根材のつなぎとして使われていたアスベストの代替品として、パルプ繊維を使ったパミールは当時の屋根材の中では先駆的存在でした。
しかし、十分な長期使用の検証がされていないパミールは、10年前後で不具合報告が多数あげられ、テレビで報道されるような社会問題へと発展していきました。
問題の原因はアスベストの代わりのパルプ繊維?
パミールにはアスベスト繊維に代わり、つなぎとして草や竹などから抽出するパルプ繊維が使われました。
パルプ繊維にはアスベストのような体への悪影響はありませんが、吸水性が高いという特性があるため、水分を吸って劣化してしまい、層間ハクリやひび割れが起こる原因となっています。
ノンアスベスト製品は、開発の技術や長期使用の検証を十分にすることができなかったために、自宅のパミール屋根をどう対処すべきか頭を悩ませている方が多いのではないでしょうか。
ニチハのパミール屋根材で起こった問題とは?
当時はニチハに限らず、様々なメーカーがノンアスベスト屋根材を製造販売しましたが、その屋根材の多くが10年前後で「層間ハクリ」「ヒビ割れ」「釘の腐食」といった不具合が現れ始めました。
今でも劣化せず、十分な機能のある屋根材ももちろんありますが、ニチハのパミールは突出して不具合の報告が現在も多くあがっています。
ニチハはパミールについて製造責任を認めていないので、消費者は仕方なく屋根を自己負担で補修することになっています。
問題の多いパミール屋根材のリコールは認められるのか?
ニチハはパミール本体の不具合を「経年劣化」との見解をだし、製造責任を否定する姿勢をとっています。
一般的に、屋根材は多くのメーカーが通常2年〜5年の保証期間としていて、10年前後で起こってくる劣化は法的には保証外となってしまいます。
専用釘はニチハによりリコールされていますが、パミール本体はリコールされておらず、仮に裁判を起こしても期待する結果にはなりづらいでしょう。
パミール屋根材に使われた「釘」はリコールされている?
パミール本体はリコール対応されていませんが、当時無償提供された専用釘は商品に不十分な点があるということでリコールの対象となっています。
この専用釘は耐食性表面処理(ラスパート処理)の施されたもので、パミールを屋根に固定させるのに使用されていました。
ニチハはこの釘の中に「メッキ厚が薄いものが混入していたため、腐食した」と主張しており、パミール本体と専用釘の腐食に関連性はないと結論づけています。
専用釘を製造した若井産業株式会社はこれに反発しており、2社は6年以上も裁判で争い続けています。
参考【[スクープ]下請けのくぎかニチハの屋根材か、落下原因巡り6年超の裁判】
パミール屋根に重ね張りする「アルマ」はニチハから無償支給される?
パミールの販売元であるニチハは、対処法として自社で販売しているアスファルトシングル「アルマ」によるカバー工法を薦めています。
「アルマ」本体はニチハより無償支給された事例もあり、カバー工法によって使用できれば、金額を最も安くおさえることが期待できるでしょう。
十分な対応に感じますが、無償支給されるのは屋根材のみで、工事に伴う副資材や足場仮設の費用は自己負担になります。
また、パミールの劣化が確認できても築年数によっては認められないケースもあるので、正確な知識をもつ専門業者に相談しましょう。
パミール屋根で起こる不具合を具体的に解説
パミールを使った屋根では「層間ハクリ」「ひび割れ」「釘の腐食」といった不具合が多くみられます。
どれも放っておくと劣化が進行してしまう現象で、通常の屋根材でおこなわれる塗装メンテナンスも全く意味がありません。
最悪の場合、「層間ハクリ」「ひび割れ」は雨漏り、「釘の腐食」は物損や人身事故といったトラブルを起こしてしまうリスクがあります。
それぞれの不具合ついて詳しく解説していくので、ご自宅の屋根材を確認する際にはぜひ参考にしてください。
層間ハクリ
層間ハクリはパミールの不具合で最も報告されている現象です。
先端部分に雨によってたまった水分が吸収されてしまい、ミルフィーユ状にめくれ上がっているのが目視で確認できます。
また、屋根材の表面に直径数ミリのクレーター状の穴も発生してしまうこともあります。
多くは施工して10年前後で現れ、放置してしまうとさらに屋根材がボロボロと崩れていき、屋根材自体が消失するので雨漏りの原因になっていきます。
ひび割れ
パミールが劣化していくと、その吸水性の良さが災し、縦や斜めに線のようなひび割れを起こすことがあります。
このひび割れを放っておくとやがて割れて、破片が近隣に落ちてしまったり、雨樋にたまってつまりの原因にもなります。ひび割れの周辺には水分がたまり、野地板の腐食にも繋がります。
現在ひび割れが確認できないとしても、劣化が進んだパミールは、現状を確認しようとした専門業者が屋根の上を歩いただけでひび割れができてもおかしくないです。
釘の腐食
パミールの施工には、耐食性表面処理(ラスパート処理)が施された専用の釘が使用されました。
この専用釘には一部、メッキ塗膜厚不足の釘が混入してしまい、通常の釘に比べサビ・腐食が起こりやすくなるということが起きています。
腐食により釘頭がなくなると、急に屋根材が落下してしまい近隣の建物や車に衝突してしまったり、歩行者を怪我させてしまう危険性があります。
パミール屋根の正しい補修方法は?屋根塗装は可能?
では、実際にパミール屋根を補修するにはどのような方法があるのでしょうか。
パミール屋根を使用されている方は、工事の金額が気になるのはもちろん、次こそは耐久性の高い屋根材を使用して、今後も長く住み続けたいと考える方が多いでしょう。
補修方法は「カバー工法」と「葺き替え工法」と2つあります。
劣化の進行度合いによってもできる補修は変わってくるので、納得のいく補修工事ができるよう、ぜひ参考にしてみてください。
カバー工法
1つ目の方法は、パミールの上から新しい屋根材を重ね張りするカバー工法です。
メリット
工事期間が短くて済む。
屋根が二重になり、断熱性や遮音性が上がる。
パミールを撤去する費用や処分費がかからず、低コスト。
デメリット
劣化の状況がひどい屋根では補修できない。
新たに屋根材が加わるので、屋根自体が重くなる。
パミールなどのスレート屋根材よりも、さらに軽量な金属屋根を使用すれば建物にかかる負担は大幅に軽減できます。
また、カバー工法には大きく分けて2つの方法があるので解説します。
直接下葺き材張りカバー工法
パミールの劣化があまり進んでいない場合、一般的にはこの工法が採用されることが多いでしょう。
下葺き材とは屋根材の下に敷かれている防水シートのことで、ルーフィングシートとも呼ばれています。
この工法ではパミールに直接下葺き材を押さえつけるように固定していくので、屋根全体を一体化させ、強度を上げることができます。
下葺き材はシートの裏側が粘着シールタイプの製品もありますが、パミールが粘着するだけでは心許ないほどに劣化している場合においてはタッカーという釘のようなもので固定します。
しかし、それほど劣化しているパミールにタッカーを使用することは更なる負担を与えてしまうだけですので、あまりおすすめできません。
野地板増し張りカバー工法
野地板とは下葺き材のさらに下にある、屋根本体を保持するための下地部分です。
この工法ではパミールの上から新しく野地板を張り、その上から下葺き材、屋根材と張っていくので先述の下葺き材張りカバー工法に比べると割高になります。
パミールの劣化が進行して、下地部分の野地板にまで影響が及んでしまうと、雨漏りの原因になってしまうのでこのような対処が必要になります。
野地板が傷んでいるかは、屋根の上を歩いてみると確認できます。歩くと足元がぶよぶよして、体が沈むようになる感じが傷んでいるサインです。ただし、専門業者では無い限り、屋根の上を歩くことは危険ですので絶対にやめてください。
デメリットは野地板・下葺き材・屋根材と張っていくので、屋根自体の重みが約2倍になります。屋根の重み=必要壁数=耐震性と関連づいていくので、耐震性能に不安のある方はこの工法はやめた方が無難です。
葺き替え
カバー工法で補修するのが難しいほどに劣化の進んだパミール屋根は、葺き替え工法での対処になります。
メリット
屋根全体をリフレッシュし、美観も一新できる。
今までよりも軽量の金属屋根に変えると耐震性が向上する。
デメリット
カバー工法に比べ、費用が1.3倍〜1.5倍になる。
工事期間が長くなりやすく、屋根も一時的になくなる。
ガルバリウム鋼板などの金属屋根だと費用はかさみますが、耐久年数が長いのでメンテナンス面で考えるとおすすめです。
葺き替えでおすすめの屋根材は?
どちらの工法も業者によっては、アスファルトシングル屋根材やスレート屋根材を薦めてきます。
アスファルトシングル屋根材やスレート屋根材でカバー工法を行えば金額を最も低額で補修できるでしょう。
しかし、これらの屋根材の耐久年数は10〜20年程度となっており、カルバリウム鋼板などの金属屋根の耐久年数25〜35年と比べ、耐久性が低くなっています。
ガルバリウム鋼板などの金属屋根は初期費用こそ高くなりがちですが、サビのメンテナンスを正しくおこなえば、40年以上の耐久年数も期待できるのです。
とても軽量な建材である金属屋根は、地震大国の日本において屋根が軽量化してくれ、建物の重心が低くなるのでいうまでもなく最大のメリットとなります。
パミール屋根に塗装はできない
パミール屋根に塗装しても意味はありません。
通常のスレート屋根では、軽いひび割れ・色褪せ・苔の付着があっても塗装によるメンテナンスで寿命を延ばすことが可能です。
しかし、パミールは塗料がきちんと乗っていたとしても、そもそもの屋根材本体がミルフィーユ状に剥がれていってしまうので全く意味がありません。
屋根塗装では塗装前に高圧洗浄をおこなうことがあります。劣化が進んだパミールに高圧洗浄をしてしまうと、層間ハクリがますます悪化してしまうだけでしょう。
知識のない業者や悪質な業者によりパミール屋根の塗装を提案されることがありますが、そういった業者には正しい知識を持って、断るのが最善といえます。
パミールにはカバー工法と葺き替え、どちらが向いている?
カバー工法と葺き替え工法のどちらが向いているかは、パミールはもちろん、その下の下葺き材や野地板の劣化状況で変わってきます。
パミールがボロボロと劣化し、雨水などの水分が入り込み、野地板にまで影響を及ぼしているような状況では葺き替え工法が最善でしょう。
屋根を補修するに当たって、どの工法が一番良いのかを知るには、専門業者に屋根に上って劣化状況を確認してもらうことが必要です。
パミール屋根にリコールは適用されない!ただし、放置せずに正しい補修工事を行いましょう
ニチハはパミールのリコール対応をおこなっていません。
そのために自宅の屋根材がパミールだと判明しても泣き寝入りとなり、自己負担での補修を進める方が多いのが現状です。
対処方法も屋根全体の劣化具合で大きく変わってしまい、悪質な業者に意味のない塗装をされてしまうことも残念ながらあります。
パミール屋根の劣化を放置すると、雨漏りに加え、物損事故や人身事故といった重大なトラブルが起きるリスクをはらんでいます。
できるだけ早く、全日本屋根パミール診断士協会にお気軽にご相談ください。
全日本屋根パミール診断士協会(JPC)はパミール屋根の専門業者なので、修理に関するお悩みがある方は気軽にご相談ください。
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