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2023-01-12

パミールに塗装を薦める業者は悪質?塗装をしてはいけない理由を紹介!

パミールに塗装を薦める業者は悪質?塗装をしてはいけない理由を紹介!

皆さん、「ニチハ」という会社をお聞きになったことはありますでしょうか?
戸建住宅を建てられた方は聞いた事があるかもしれません。建物の窯業系外装材(通称サイディング)などで有名な企業です。そのニチハが製造した「パミール」は耐久性が著しく低く、リコールが殺到したそうです。
「パミール屋根の劣化が進んできたときにどのようにメンテナンスすればいいのか分からない」と疑問に思う方や、
「パミール屋根は塗装してはいけない」ということを聞いたことのある方もいるかもしれません。
そこで今回はパミール屋根のメンテナンス方法や塗装してはいけない理由などについて詳しく解説していきます。

ニチハのパミールとは?

パミールとはニチハが1996年から2008年まで製造販売していた屋根材のことです。この建材が普及した理由は、当時建材の強度アップ等の為よく使用されていたアスベストが、肺への有害性が認められ、ノンアスベストの代替品として使用されたからです。
ただ、製造するにあたりスピードが求められ、長期的使用のテストが十分に行われなかったため、一般的な屋根材の寿命(20~25年)に比べ、寿命が短く中には7年程でひび割れなどの症状が発生しているようです。以下、ニチハのパミールの特徴やパミール問題が起きた原因について詳しく解説していきます。

ニチハのパミール屋根材が販売された社会的背景とは?

上記でも述べたようにパミールとはニチハが1996年から2008年に販売していた屋根材のことです。これは法律によって屋根にアスベストが使用できなくなった時期と重なります。アスベストは強度において優れている一方で、人体に悪影響があることが判明し、法律によって使用できなくなってしまいました。そこでニチハをはじめとする大手外壁材・屋根材のメーカーはアスベストを使用しない屋根材の製造及び販売を開始したのです。

問題の原因はアスベストの代わりのパルプ繊維?

ニチハがアスベストの代わりに利用したのはパルプ繊維とよばれる素材です。このパルプ繊維が後のパミール問題の原因となったと言われています。パルプ繊維は竹や草などの植物から抽出した繊維を使用しており、吸水性が高いという特徴があります。この素材はアスベストと異なり人体には悪影響のない素材ですが、吸水性が高いゆえに雨水などを多く吸ってしまい、不具合が多く発生することにつながりました。

ニチハのパミール屋根材で起こった問題とは?

ニチハが製造したパミール屋根ではどのような不具合が発生しているのでしょうか。具体的には以下のことがあげられています。
・層間ハクリ
・ひび割れ

このような不具合はニチハのパミールだけでなく、その他多くのノンアスベスト屋根材で施工後数年間に多数報告されるようになりました。また、スレート屋根材がズレてそのまま下に落下するという危険な事例も報告されています。

問題の多いパミール屋根材のリコールは認められるのか?

上記で述べたような不具合が報告されているパミール屋根ですが、ニチハとしては屋根材に問題ないとアナウンスしています。他のノンアスベスト製造・販売会社も不具合に関して同じく製造責任を否定しています。このような症状は経年劣化が原因だと説明しているのです。そのような説明の背景としては、リコールしてしまうと多額の賠償責任がのしかかってくるからと考えられます。スレート屋根の保証は一般的に2~5年程度のことが多く、それよりも時間が経過して発生した不具合に関しては対応してもらえないケースも多くあります。不具合が起きてしまった時、ニチハに問い合わせても満足のいく対応は得られない可能性もあり、時間の無駄になるかもしれません。ただし、ニチハのパミールの場合、以下で述べるように釘に関してだけはリコールを認めています。

パミール屋根材に使われた「釘」はリコールされている?

ニチハはパミール屋根自体のリコールは認めていないものの、施工時に使われた釘に関してはリコールをしています。ニチハはその釘のメッキ処理が十分ではなかったために釘が腐食しやすくなり、屋根のずれや落下が起きたと説明しています。

パミール屋根に重ね張りする「アルマ」はニチハから無償支給される?

またパミール屋根の修理に対して、ニチハの「アルマ」が無償提供されたという情報もあります。アルマはアスファルトシングルというガラス材にアスファルトを浸透させた屋根材です。アスファルトシングル材は防水性や耐久性に優れており、一般的によく使われる材料です。ニチハは不具合の起きたパミールの上からこのアルマを重ね張りし、補強する方法を推奨しました。このカバー工法で使用するアルマは、ニチハより無償提供されたという情報があるので、ダメ元でいいという方は、一度ニチハに問い合わせてもいいかもしれません。ただ、不確かな情報なので過度な期待はしない方がいいかもしれません。

パミール屋根で起こる不具合を具体的に解説

つぎにパミール屋根には具体的にどのような不具合が起きるのかについて詳しく紹介しています。以下で述べるような症状が見られる場合はパミールの劣化症状が進んでいるので専門の業者に相談するなどを検討した方がいいでしょう。
・層間剥離(ソウカンハクリ)
・ひび割れ
・釘の腐食
それぞれの症状について一つずつ詳しく解説していきます。

層間剥離(ソウカンハクリ)

層間剥離パミール屋根において一番多い劣化症状です。層間剥離が起こるとパミール屋根がミルフィーユ状に何層にもめくりあがる状態になります。この劣化症状はとくにパミールの先端部分で最よく見られます。

ひび割れ

ひび割れが屋根材に起きると、縦や斜めに筋がはいるように傷が付きます。パミール屋根は耐水性に問題があったため、雨風によってひび割れが起きやすい状態になっていました。ひび割れが起きると屋根の落下やズレにつながり、人やモノに損害がでてしまう恐れもあるので非常に危険です。早めの対応が必要になります。

釘の腐食

上記でも述べたようにパミール屋根の施工時に使われた釘の一部にメッキ処理がしっかりとされていないものがあったために、釘の頭が腐食するという不具合も起きています。釘頭が腐食すると屋根材のズレや落下につながります。ひび割れと同様、事故やケガにつながりやすいため、早めの補修が必要になります。

パミール屋根の正しい補修方法は?屋根塗装は可能?

不具合が起こったパミール屋根の補修方法は大きく二つあります。一つ目がカバー工法です。二つ目は葺き替え工法になります。以下それぞれ詳しく紹介していきます。

カバー工法

カバー工法は既存のパミールの上に、新たに屋根材を重ね張りする方法です。屋根材を二重にする事により、高い遮音性・遮熱性が期待できます。また、この工法の場合、屋根の撤去費用や処分費用がかからないため、工期を短くでき、費用も抑えることができます。ただし、既存の屋根の劣化が進んでおり、状態が悪い場合、この工法で補修することはできないので注意が必要です。カバー工法の詳しい種類について以下に詳しく解説していきます。

直接下葺き材張りカバー工法

直接下葺き材張りカバー工法とは既存のパミール屋根の上に下葺き材とよばれる防水シートと新しい屋根材を重ねて張る工事方法のことを指します。築後10~15年程度のあまり劣化が進行していないパミール屋根に適した工法となります。

野地板増し張りカバー工法

野地板増し張りカバー工法とはパミールの上に野地板(のじいた)という板を張り、その上に下葺き材と新しい屋根材を張る工事方法のことを指します。野地板を張る分、直接下葺き材張りカバー工法と比較すると工事費用が高くなる傾向がありますが、パミールの劣化がひどい場合でも工事できるようになります。また既存の野地板がすでにボロボロになっているケースに適している工法です。

葺き替え

パミールの状態が悪い場合は、カバー工法は適していません。その際はパミールを全部撤去し、新たな屋根材(スレート屋根、金属鋼板、アスファルトシングルなど)を張り直します。金額や工期はかかりますが、パミールを撤去した際に現状の屋根の下地において、雨漏れに繋がりそうな箇所を同時に直せるというメリットがあります。

葺き替えでおすすめの屋根材は?

次に「葺き替えを行いたいけどどの屋根材を選べばいいのか分からない」という方向けにおすすめの屋根材を紹介していきます。結論から述べると、葺き替えにおすすめの屋根材は成型ガルバリウム鋼板です。成型ガルバリウム鋼板は施工費用は高くなるものの、メーカー保証が得られ耐久性も高い屋根材です。その他、葺き替えで使われる屋根材にはスレート屋根やガルバリウム屋根、ルーガといったものがあります。

パミール屋根に塗装はできない

パミール屋根は塗装はできません。理由としては劣化したパミールははがれてくるので塗装をしても意味がないからです。塗装工事には外観を美しく保つほかに機能性を向上させる機能がありますが、パミールの場合、塗装しても雨漏り改善や耐久性の向上は期待できません。万が一パミール屋根に塗装を進めてくる業者がいたら注意しましょう。

パミールにはカバー工法と葺き替え、どちらが向いている?

パミール屋根の補修方法には大きくカバー工法と葺き替えの2種類あると紹介しましたが、どちらの方が向いているのでしょうか。パミールの劣化が進んでいない場合はカバー工法もできますが、パミールの劣化が激しい場合は葺き替えにしましょう。葺き替え工事はカバー工法と比較して費用が高くなる、工期が長くなるといったデメリットもありますが、下地から新しいものにすることで屋根の耐久性を伸ばせることができます。長く安心して暮らしていくためにも葺き替えをおすすめします。

パミール屋根にリコールは適用されない!ただし、放置せずに正しい補修工事を行いましょう

いかがだったでしょうか。ニチハはパミール屋根自体のリコールは行っていません。またパミールは劣化を放置すると屋根の落下やズレなどにつながるため非常に危険です。もしパミール屋根のことでお困りのことがあれば全日本屋根パミール診断士協会にお気軽にご相談ください。

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