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2023-03-02

ニチハのパミールに代表されるノンアスベストの屋根材に注意!

皆さんは、パミールという屋根材をご存知でしょうか。パミールとはノンアスベストのスレート屋根で、とくに洋風の家によく使われています。2000年前後に販売されたこのパミールですが、実は注意が必要です。
「我が家の屋根はパミールかも」と思う方はぜひ一度目を通してみてください。

スレート屋根とは?

そもそもスレート屋根とは何でしょうか。スレート屋根には2つの種類があります。一つ目が、天然スレート、二つ目が化粧スレートです。天然スレートとは天然の岩石を加工して作ったスレートのことです。見た目が非常に美しい一方で、とても高価なものなため、日本の住宅ではほぼ使われていません。
化粧スレートとは、天然スレートに似せて作った人工のスレートです。化粧スレートは天然スレートよりも安価でありかつ加工しやすい、軽量であるといったメリットが多くあり、日本で広く普及しています。化粧スレートは多くのメーカーがそれぞれ独自に様々な素材で開発しているので、豊富な種類のスレート屋根が世に出回っています。そのため、スレート屋根とひとくちに言っても、機能性や耐久性などが種類ごとに大きく異なります。業者によっては化粧スレートのことを、カラーベストと呼ぶ場合もあります。

ノンアスベストの屋根材が販売された時代背景

パミールの大きな特徴はアスベストを使用していないノンアスベストの屋根材ということです。
このノンアスベスト材のパミールが販売された背景には、アスベストの影響が問題視されたということがあります。アスベストは人体に悪影響を及ぼすということがわかり使用が禁止されました。
そこで、ニチハはノンアスベストかつ軽量という特徴をもった、パミールを他の企業に先駆けて発売し始めたのです。ニチハがこのパミールを製造販売し始めたのは1996年からです。ニチハはパミールを2008年まで販売し、13年間で年間25000棟分販売したと言われています。

ニチハのパミールに代表されるノンアスベスト屋根材に問題が多い理由?

アスベストを使っておらずかつ軽量という特徴を持つノンアスベスト屋根材ですが、パミールは販売開始してから数年後に様々な不具合が報告されるようになりました。どうしてこのような問題が発生してしまったのでしょうか。その理由は早急に開発したことやアスベストで接合していたパルプ材が原因と考えられます。ノンアスベスト屋根材の問題の原因を詳しく説明していきます。

開発を急いだため

アスベストの使用が禁止され、ノンアスベストの屋根材を開発しましたが、その開発過程で耐久性などといった検証が不十分だったことが考えられます。もし検証を十分に行っていたのであれば、耐久性が低く、すぐに劣化するような屋根材は開発されなかったでしょう。ノンアスベスト材を早く販売価格したいがために開発を急ぎすぎたということが考えられます。

パルプ材が接合材として不十分

パミールでは屋根の接合部分にアスベストの代わりにパルプ材を使用しました。
パルプ材は植物を由来にした素材なので、もちろん体に悪影響はありません。しかし、アスベストと比較すると性能が低く剥がれやすい素材でした。パルプ材は水分を吸収しやすく、その吸収した水分によって屋根が分離してしまうのです。屋根の接合材として適切な素材を使用しなかったことが大きな原因だと考えられます。

含水率が高い

上記でも説明したように、ノンアスベスト屋根材のパミールには水分を吸収しやすいパルプ材が使われています。そのため、水を吸収しやすいという特徴があります。さらにそれに加えて構造的にも問題がありました。
パミールの構造は何層もの屋根材を貼り合わせて作られています。その接合部分にパルプ材が使われています。このパミールは湿式と呼ばれる製法で作られており、もともと含水率が20%程度と比較的高い数値になっています。さらに雨などによるさらなる水分と冬季などの低温で膨張と乾燥を繰り返し、徐々に屋根材の層と層の間が分離していくのです。含水率が高かったことと、単層構造ではなく複層構造であることも劣化を早める原因となりました。

ニチハのパミールに代表されるノンアスベスト屋根材で発生する問題とは?

パミールに代表される、ノンアスベスト屋根材ではどのような問題が発生するのでしょうか。具体的には屋根の剥がれやズレといった劣化が見られるとの報告があります。
特に屋根が凍るほど冬場の寒さが厳しい地域で劣化問題が多く報告されています。また、同じ建物でも北の方角の屋根に劣化の症状が多く見られているという特徴があります。
このような地域もしくは方角のパミールの屋根では先端部分が白くなってめくれ上がるという劣化症状が初めに多く見られます。さらに劣化が進むと、パミール屋根がミルフィーユ状に何層にも剥がれ始めるのです。これを放置すると屋根自体がズレたり剥がれてしまうといったことも起こります。こうなると、屋根が落下して人や物に損害を与えるだけでなく、雨漏りといった問題も起こりやすくなります。早急に葺き替え工事などのメンテナンスが必要になります。

一方、アスベストが含まれた屋根材の問題とは?

上記ではノンアスベストの屋根材は問題が多いことを解説しました。しかし一方でアスベストが含まれている屋根材を使用している場合も注意が必要です。
アスベストを使用した屋根材は、1990年代になるまで多くの屋根材で使用されていました。スレートの屋根材は耐久年数が20年程度なので、既にアスベストを使用した屋根材を撤去している方も多いかもしれません。しかし一方でまだ屋根材として使用されている場合もあります。このアスベストを含むスレート屋根は撤去に特別な処理が必要なので通常の屋根の撤去より費用がかかってしまいます。
処理費用がかかるからといって、アスベストを撤去せずにいると、スレートの屋根の一部がひび割れ、内部のアスベストが飛散する可能性があります。飛散したアスベストは住宅内に入り込み、住んでいる方の人体に悪影響を及ぼしてしまいます。古いスレート屋根を使用している方がいればなるべく早く専門業者に相談するようにしましょう。

ノンアスベスト屋根材の問題に対するメーカー保証はあるのか?

パミールのような劣化が多く報告されているノンアスベスト屋根材に対して、メーカーからの保証はあるのでしょうか。結論から述べると、ニチハのパミールの場合屋根自体はリコールされていません。しかし、屋根の施工に使用した釘に関しては、メッキ処理が不十分だったとして、リコールされています。そのため、釘に関しては無償で提供しているようです。
また、パミールの劣化症状に関しては、経年劣化であるという見解を示しています。

2000年前後のスレート屋根が自宅に使われている場合はどうする?

もし、ノンアスベスト屋根の販売が多かった時期、つまり2000年前後に家を建築した人がいたらぜひ一度業者に点検してもらうといいでしょう。パミールの販売期間は1996年から2008年までです。この期間に家を建てている場合、劣化が早いパミールが使用されている可能性があります。また屋根がパミールでなかったとしても、スレート屋根の耐久年数は20年ほどなので一度も点検等をしていない場合はそろそろ点検を受けた方が良い時期になります。万が一自宅の屋根がパミールだった場合は塗装による修理はできません。葺き替え工事もしくはカバー工法でメンテナンスが必要になります。

ニチハのパミールに代表されるスレート屋根材の家は一度点検をしてもらいましょう

「うちの屋根パミールかも?」、「そういえば家を建てたのは2000年前後だったな」と思う方はぜひ、屋根の点検を専門業者に頼みましょう!屋根の点検は高所で危険が伴うため自分で行うのは大変危険です。またパミールは塗装による修理はできないので、専門業者に見てもらう必要があります。
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全日本屋根パミール診断士協会(JPC)はパミール屋根の専門業者なので、修理に関するお悩みがある方は気軽にご相談ください。
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